再生の季節のための精油

Essential Oils for The Season of Renewal

再生の季節のための精油

 

 

春がやってきます。

伝統医学では、季節の変わり目になるとエネルギーの流れが変わり、環境の変化に直面するため、健康面に問題が起きやすいとされてきました。私は以前、季節の変わり目のアンバランスを和らげる精油の使い方について書いた時に、こうした変化にまつわる課題に注目しました。けれども、季節の移り変わりとは、決して課題だけでなく、私たちに新しい癒しのチャンスを与えてくれる面もあります。

 

世界中の人々の暮らしを激変させたコロナウィルスによるパンデミックという苦闘の2年間を経て、私は再生のための精油を手にしはじめています。人々は経済的な挫折やそれに伴う不安の広がり、そして愛する人を失うという悲しみにも直面しました。アメリカをはじめ、世界の人々は政治的な事柄を通じて社会不和が大きくなっていることにも直面しています。私たちは皆、これまでとは違う何かを、もっと希望に満ちて、楽観出来ることを、より生産的なことを、求めているのではないでしょうか。今、私たちは真のルネサンスを求めています。春が近づくにつれ、この思いが全体性の良心に響いてきています。

 

古代の神話やスピリチュアルな物語を通じて春が歓迎されてきたように、春という再生の季節は暗闇から光へと変化し、新しい成長への道を開き始める時期です。私自身もそのような思いで春を迎えたいと思うようになりました。もちろん、アロマセラピーは私の暮らしのなかで重要な一部ですから、この目標をサポートしてくれる精油を選ぶことも、その方法の一つです。

 

ここでは、実際に私が使ってみて春のエネルギーに移行するのに役立つと感じた3種類の精油を紹介します。そのなかには、あなた自身のお気に入りがあるかもしれません。もしあれば、春というこの生まれ変わりの季節にこれらの精油を使ってみた経験をシェアしていただけると幸いです。

 

 

再生の季節のための精油:ベルガモットFCF精油(Citrus aurantium ssp. bergamia)

 

ベルガモット精油は、中医学において、冬から春への移行を緩和するために使われてきた精油の一つです。春は、時に急な変化によって新生活がスタートするため、人によっては気の流れに乱れや滞りが生じることがあります。ベルガモット精油には気の流れをスムーズにする作用があり、気のバランスを調整し、苛立ちや体の痛みを和らげると考えられています。春が近づくにつれ、私はベルガモット精油の持つ「解放」を促す作用の深さを実感しています。新たに生き直し、再生するためには、パンデミックの期間に蓄積されたフラストレーションや憤りの思い、滞っている感情を解放する必要があります。ベルガモット精油はそれらを助け、「クリア」で「高揚」した気分や楽観的な感覚を与えてくれます。

 

もし、あなたがこの香りを好きだと感じられたら、少量をアロマデュフューザーで室内に拡散したり、アロマペンダントに詰めたりして試してみてください。一般的なベルガモット精油には、光毒性があり、日焼けを促進することに注意してください。皮膚に塗布した後は少なくとも12時間は日光に当たるのは避け、紫外線ランプなどの使用も避けてください。

 

「真正アロマオタク」の方向け記事
日焼けを引き起こすベルガモット精油の成分は「フロクマリン」と呼ばれるもので「ベルガモットFCF精油」は、このフロクマリン類を人工的に除去したベルガモット精油です。ベルガモットFCF精油を使用することで日焼けのリスクは軽減しますが、完全に除去されるわけではありません。

 

 

 

再生の季節のための精油:フランキンセンス・ソマリア精油 (Boswellia carterii)

 

フランキンセンス精油は、私が最もよく使う精油の一つです。精神と霊性に作用することで知られるこの精油は何世紀にもわたって宗教的な儀式に広く利用されてきました。アロマセラピー研究家のガブリエル・モージェイは、フランキンセンス精油について、心を落ち着かせ、意識を中心に据えさせ、精神的な解放を行うと表現しています。私は今、世界で起きていることについての絶え間ない雑音を断ち切って、自身のなかのより高い目的を思い起こし、それに向かって進んでいけるように、この香りを使っています。乳香樹脂は、何世紀にもわたってソマリア人たちが狩りをする時の気力と持久力を高めるために使用されてきました。私はこの精油をハイキングをする時の気力と持久力のために使っていますが、精神的、霊的な力も高めてくれることに気づきました。これは、この2年間の冬眠から解放され、人生を再構築しようとしている私にとってありがたいことです。一般的にフランキンセンス精油は適量であればたいていの人が外用しても安全であると考えられています。

 

 

 

再生の季節のための精油:ネロリ精油(Citrus aurantium)

 

ああ、ネロリ!もしも、天使の香りというものがあるとしたら、それはきっとネロリの香りでしょう。オレンジの花から抽出されたネロリ精油の香りは、まるで天国のようで忘れえぬ印象を残します。ネロリ精油は、まぎれもなく春の季節と再生のための典型的な精油です。ネロリは、PTSD(心的外傷後ストレス障害)や感情の消耗、燃え尽き症候群などによく使われ、心を深く養い、気分の高揚をもたらす精油です。ネロリの香りを嗅ぐと、どんなに厳しい冬であっても、その後には必ず春がやって来ることが感じられ、未来へ向かって進む勇気が湧いてきます。今、この瞬間に必要とする香り、まさしく欲している香りです。一般的にネロリ精油は適量であればたいていの人が外用しても安全だと考えられています。

 

 

 

これの記事がコロナ禍の2年間の苦難を乗り越えようと努力している皆さまのお役に立てるようであれば嬉しく思います。あなたのお考えや体験をお知らせください。

 

 


著者について

ジョーイ・パワー博士
パワー博士は、ジョージア大学で博士号を取得し、現役を引退した神経心理学者です。ジョージア医科大学の外科/脳神経外科の助教授を経て開業し、入院患者や外来患者に対する20年以上の臨床経験を持っています。ハーブセラピー、アロマセラピー、中医学などの幅広い代替治療法の研究者かつ実践者であり、脳の嗅覚神経系と大脳辺縁系のトレーニングによって精油の作用を解する独自のスキルを持っています。アロマセラピーの分野では国際的に知られた著述家で、アロマセラピー講師でもあります。ジョーイ博士のアロマセラピーへのアプローチは、確かな医学的、科学的な研究と豊富な臨床経験をもとに身体、心、霊性を尊重するホリスティックな哲学と融合させたものです。

 

 

記事監修:ジョーイ・パワー医師(2022年2月13日)

翻訳監修:堀弘明・堀浩子