プチグレイン精油の奥深い魅力

KNOW YOUR ESSENTIAL OILS:PETITGRAIN In-Depth

 

注:このページに記載されているすべての情報は、教育的興味のみを目的としています。ここに記載されている内容は、Artisan Aromaticsが販売するいかなる製品についても主張するものではありません。精油の使用体験は、他者の体験とは異なる場合があります。ここに記載されているいかなる情報も、身体的または精神的な病気の診断や治療に使用することを意図するものではありません。あなたの精油体験が良いものとなるよう、以下に記載されている安全に関する情報にご注意ください。子供への精油の使用は、所定の安全ガイドラインの知識が必要です。

 

プチグレイン (Citrus aurantium)

なんて素敵な精油なのでしょう!プチグレイン精油は、ビターオレンジ(Citrus aurantium)の葉と小枝から蒸留されます。ビターオレンジの葉と小枝からプチグレイン精油、花からネロリ精油、そして熟した果実の果皮からビターオレンジ精油が抽出されます。プチグレイン精油は「オレンジリーフ精油」とも呼ばれ、愛らしいフローラルな(かつ安価である)芳香から「貧しい人のネロリ」と言われることがあります。正直なところ、私にはネロリ精油の美しい芳香に匹敵するとは思えませんが、プチグレイン精油はそれ自体がとても良い香りなので、その個性ある香りを楽しんでいます。

 

ビターオレンジの木は東アジア原産ですが、地中海沿岸地域やカリフォルニア、フロリダ、南米などにもよく適応しています。高さ約30フィート(約9m)に成長する常緑樹で、光沢のある楕円形の葉をつけ、芳香高い白い花を咲かせます。

 

プチグレイン精油の主な生産地は、地中海沿岸地域、中国、パラグアイです。アーティザンのプチグレインのセレクションはイタリア産で、アロマセラピストの多くは最高級のプチグレイン精油の原産地だと考えています。一般的に、私はイタリア産の柑橘類が好きです。なぜなら、「オーガニック」認定を受けていないイタリアの生産者であっても、アメリカで一般的に使用される化学薬品に比べ、はるかに少ない量を使用しているからです。加えて、イタリアの土壌と気候は柑橘類の生産に特に適しているようです。

 

民間伝承と歴史:
アロマテラピー愛好家の多くはプチグレイン精油が葉や小枝から蒸留されることをご存じですが、かつてはサクランボほどの大きさの未熟な青いオレンジから抽出されていたこと、そしてこれがフランス語で「小さな粒」を意味する「プチグレイン」の名前の由来であることを知る人は少ないかもしれません。精油生産のために小さな果実を破棄するのは経済的でないと分かった時、この慣習は中止され、「プチグレイン」という名前は葉と小枝を蒸留して得られる製品に移行しました。(サクランボを「小さな粒」と形容するには若干大きすぎるのかもしれませんが、、)

 

ビターオレンジの木は、地中海沿岸地域の民間療法や中医学に用いられてきましたが、現在製造されているプチグレイン精油には、薬用としての歴史はありません。プチグレインが未熟な果実から蒸留されていた頃、主な用途は古典的なオーデコロンの原料の一つであり、葉や小枝から蒸留されたプチグレイン精油は今でも香水に使用されています。

 

抽出:
前述のように、プチグレイン精油は、ビターオレンジの葉と小枝から水蒸気蒸留法で抽出されます。稀に、ライムツリー(メキシカンライム、学名:Citrus aurantifolia)の葉から「プチグレイン」精油が蒸留されることもあります。

 

物理的および芳香特性:
プチグレイン精油は淡黄色~淡琥珀色で甘くフローラルな柑橘系の香りのなかに、柔らかなウッディとハーブのニュアンスがあります。トップノートとミドルノートが優勢でラベンダー、ローズマリー、ゼラニウム、フランキンセンス、ビターオレンジ、ネロリ、クラリセージ、パルマローザなど、数多くの精油と相性が良く、ブレンドされています。

 

プチグレインの主成分は酢酸リナリルとリナロールで、これらの2つの成分で精油全体の約70%を占めています。残りの化学成分には、20種類以上の微量成分が含まれています。

 

アロマセラピストによるプチグレイン精油の評価:

アロマセラピストたちはプチグレイン精油の持つ癒しの作用について多くの評価をしています。アロマセラピーの書籍では以下のような作用があると記述されています。


・殺菌
・抗炎症
・鎮静、リラクゼーション
・不安の軽減
・気分の高揚
・神経強壮
・消化促進
・全身強壮
・抗痙攣

 

アロマセラピストたちはこれらのプチグレインの作用について、一般的に言われていることを基に、この精油を下記のような日常的な症状に使用してきました。

 

・にきび、脂性肌
・肌のたるみ
・神経性の消化不良
・ストレスや神経疲労
・睡眠障害
・悲しみ、落胆

 

プチグレイン精油は心地よい芳香と穏やかな作用であるため、私自身は扱いやすい精油だと感じています。私の経験では特にラベンダー・トゥルー精油やフランキンセンス精油と組み合わせると、リラックスと回復をもたらすと感じています。もちろん、その方によって体験は異なるかもしれませんが、気分を高揚させながらも同時にリラックスする精油を探している時にはプチグレイン精油を試してみてください。

 

サトルティへの影響:
サトルティへの影響とは、精油が人間のエネルギーフィールド、微細体、霊性に及ぼすとされる影響を指します。全ての人がこの考えを受け入れているわけではありませんが、そのような影響があるとする人たちもいます。

 

サトルティへの影響があるとする人たちは、アロマセラピーにおけるこの側面を非常に重要視しています。精油の持つサトルティへの影響に関する私の主な情報源は中医学で、特にガブリエル・モージェイなどの古典的な中医学とアロマセラピーを組み合わせた現代的な実践者の研究に注目しています。

 

この観点では、プチグレイン精油のエネルギーは、温かく、ニュートラル(湿性でも乾性でもない)であると考えられています。主なエレメントは「木」で「火」のエレメントと相生しています。

 

プチグレイン精油の主な作用は、古典的な中医学では以下のように言われています。

 

・精神を落ち着かせ、解放する。

・肝機能を整える。

・霊魂(the Hun)を正常化させる。

 

このような観点から、プチグレイン精油は、怒りにまつわる問題や感情のブロックから来る緊張感、筋肉の痙攣、疲労感に悩む人たちに役立てられるでしょう。

 

安全に関する情報:
プチグレイン精油には、毒性、刺激性、感作性はありません。また、光毒性もないため、日光浴や紫外線を浴びる前にこの精油を肌に塗布するのに特別な予防措置は必要ありません。肌に塗布する際には、プチグレイン精油を植物油などの基材で最大2.5%濃度に希釈します。アロマバスで使用する場合は、大さじ1杯(約15ml)のホホバオイル(または植物油)にプチグレイン精油を最大で5滴まで加え、適切な温度のお湯に加えます。精油の内服は避けてください。

 

 

有名なアロマテラピーレシピ:フィアーズブレンド

ヴァレリー・アン・ワーウッドによるレシピで、古典的なアロマテラピーのテキスト『The Complete Book of Essential Oils and Aromatherapy』の87ページから引用しています。この本は今も素晴らしいレシピを紹介してくれる参考文献の一つとしてアロマセラピー初心者から上級者までお薦めしています。ヴァレリーは「恐れ」をなだめ、解放するためのブレンドとしてこの精油ブレンドを提案しています。この精油ブレンドの原液を2~3滴、アロマセラピー・インヘラーやアロマペンダントに滴下するか、3オンス(約90ml)の植物油やホホバオイルで希釈して肌に塗布することが出来ます。 ローズ精油が高価だと感じる場合はローズ・ゼラニウム精油で代用することも出来ます。

 

安全性とブレンドのポイント:
しっかりと蓋ができる小さめの容器に、あらかじめそれぞれの精油を滴下し、ボトルを軽く振って精油どうしを混ぜ合わせます。精油ブレンドは植物油に加える前に蓋をしたまま数分間置いておきます。精油ブレンドが目に入らないように、粘膜や傷口などに付着しないように注意します。

 


アロマテラピーレシピ「フィアーズブレンド」

ローズ・オットー精油 15滴
カモミール・ローマン精油 10滴
プチグレイン精油 5滴

 

 

アロマセラピー専門家のTisserandとYoungは、ダマスクローズ精油の最大経皮濃度は0.6%を推奨しています。ローズ精油にはメチルオイゲノールが含まれている可能性があるため、長時間の使用は控えることをお勧めします。

 

著者について

ジョーイ・パワー博士
パワー博士は、ジョージア大学で博士号を取得し、現役を引退した神経心理学者です。ジョージア医科大学の外科/脳神経外科の助教授を経て開業し、入院患者や外来患者に対する20年以上の臨床経験を持っています。ハーブセラピー、アロマセラピー、中医学などの幅広い代替治療法の研究者かつ実践者であり、脳の嗅覚神経系と大脳辺縁系のトレーニングによって精油の作用を解する独自のスキルを持っています。アロマセラピーの分野では国際的に知られた著述家で、アロマセラピー講師でもあります。ジョーイ博士のアロマセラピーへのアプローチは、確かな医学的、科学的な研究と豊富な臨床経験をもとに身体、心、霊性を尊重するホリスティックな哲学と融合させたものです。

 

 

記事監修:ジョーイ・パワー医師(2019年7月2日)

翻訳監修:堀弘明・堀浩子