セラピューティック・クオリティの精油を選ぶには

Aromatherapy Quality Essential Oils How to Select a Vendor

『セラピューティック・クオリティの精油』という言葉は、その精油がアロマセラピーとしての使用に適していて、クオリティが高く、完全にナチュラルで何も付け加えておらず、また何も取り除かれていないものを指します。けれども、アメリカではこれらの事柄に関する規制はないため、どのようなメーカーでもこのような表記で精油を販売することができます。市販精油が本当にアロマセラピーの使用に耐えられるか否かを販売するうえで問われることはありません。アーティザンで表記している「セラピューティック・クオリティの精油」や「プロフェッショナル・クオリティの精油」あるいは「アロマセラピー・クオリティの精油」などは100%ピュアナチュラルな精油を意味するものです。

 

私たちは生産者を厳選し、精油の純粋さや効果について科学的に分析したうえで、これらの表記を行っています。私たちは精油の品質について真剣に取り組み、最高の精油を届けられるように常に努力しています。一方、アメリカには精油のグレード等に関する公的な組織がありません。そのためアーティザンでは、あえてグレードという言葉を使わずクオリティという言葉を使っています。

 

市販精油のなかには「アロマセラピー・クオリティ」や「セラピューティック・クオリティ」といった表記すらないメーカーも存在します。そのようなメーカーから精油を購入することは控えた方が良いでしょう。購入する際にセラピューティック云々の表記の有無は簡単に見分けがつきます。本当に難しいのは、精油ボトルの表記が本当かどうかを見分けることです。大抵の市販の精油ボトルには下記の表示があるため、それらを参考に購入を検討するのもよいでしょう。下記は精油のクオリティに関して一定の基準となるものです。

 

◎第一に、メーカーのスタッフにアロマセラピストがいること。

 

◎精油ボトルに植物学名、ケモタイプ(必要な場合)、産地、栽培方法、ロット ナンバー、消費期限、使用上の注意(外用のみ等)、抽出部位の表記などがあること。

 

◎MSDS(マテリアル・セーフティ・データ・シート)、化学分析表を必要に応じて提供できること。

 

もちろん、これらの条件だけでは本当に良い精油を販売しているかは分かりません。けれども、一定の基準にはなります。

 

記事監修:ジョーイ・パワー医師(2017年7月1日)

翻訳監修:堀弘明・堀浩子

講師からの補足

精油の品質に関しては2018年現在、日本国内にも公的な基準はありません。公益社代法人・日本アロマ環境協会が定めている同協会による認定精油の基準がありますが、その内容はアロマセラピストにとって、ごく常識的なものです。認定精油の基準はアロマセラピーおよび精油取り扱い上の最低条件的な内容(ブランド名、品名、学名、抽出部位、抽出方法、内容量、生産国もしくは原産国、発売元もしくは輸入元の記載と、使用上の注意書き4点(原液の皮膚塗布と飲用の不可、子どもの手の届かないところに保管、火気に注意)についての記載を認定精油となるメーカー側に求めるものです。

つまり、日本でも精油の品質を真の意味で保証する機構はないという事です。それだけに消費者は精油のメーカーについてどこを選んだら良いかが分かりづらいと言えます。植物から抽出された100%ピュアナチュラルのエッセンシャルオイルであれば「精油」と呼ぶことが出来るため、購入の判断は各消費者に委ねられています。

上記を最低限の基準として、一般的に言われていること、そして私自身の感覚から言えば精油の品質の良し悪しが最もよく分かるのは、その「芳香」です。瓶を開けて、実際に嗅いでみて香りが良いもの、それが良い品質の証です。良い香りの精油を選ぶことは各消費者にとって最善の選択です。

堀浩子